violetandlightblue-1


azure・blush・purple・white(仮)


僕の思い出せる一番古い記憶。
それは壊れたテレビみたいにザラザラで映像が時々飛ぶ、セピア色の画面。
目の前には倒れている数人の人。皆、少しも動かない。何が起きているのかわからなくて、怖くて、助けを求めるように後ろを振り向いた。
目に飛び込んできた一人の男。
顔は特別にザラザラしていてわからないが、唯一見て取れる男の皮肉な笑み。
一つだけしっかりしている事。
僕はこの男の笑った顔が嫌いだ。

僕の一番最初の思い出。

ある時気がついた。
僕は普通の子供じゃないって事に。だって、普通の子供は誰かを殺したりしない。

ある時嫌になった。
人を殺せと命じる父を。殺意を抑えられない自分を。
怖いのに逃げ出せない、急に動かなくなるんだ。子供でもわかる。僕が壊しているのは明らかなんだ。
極度に視力の悪い色の違う右目が僕に言うんだ。
逃げられないよって。

ある時気持ちを制御させることに成功した。
右目にカラーコンタクトをいれた。前ほど人を殺したくはなくなった。

ある時父から逃げ出した。
それでも父は僕をおった。
逃げ出したのに、僕の周りから赤色が消えることはなかった。
赤色は・・・いつも僕の周りを覆っていた。
世界はいつもセピア色なのに、赤色だけが僕には判別できた。

ある時叔父に出会った。
子供で、笑いもせず、喋りもせず、誕生日も何もわからない僕を不憫に思ったんだろう。日本の知り合いに僕を預けようとした。僕を匿ったと知ったら、父が叔父をどうするかなんてその時は全然わからなかった。
それなのに僕は叔父の下からも逃げ出した。

人間が怖かった。
誰も信じられなかった。
僕にとって世界は、セピアと赤色、殺意。それだけだったんだ。

白い雪が降っていた。
裸足なのを構いもせず、僕は走った。
人のいない世界に行きたかった。
殺意のない世界を夢見てた。

寒かった。
いつの間にか座り込んで雪に埋もれていた。
このまま死んでもいい。
まとわりついていた赤色のない世界。真っ白なこの世界でだったら死ぬのも悪くない。ふと思った。何で今まで生きてきたのか、死ねばよかったのに。
思いつきもしなかったその考えに、生まれて初めて僕は笑みをこぼした。
死ぬことを思いつかなかった、愚かな自分に対する自嘲だったけれど。

真っ白な世界に、その人はいきなり姿を現した。

最初は死神だと思った、なんて言ったら怒りますか?

白と黒のコントラストは今でもしっかり目に焼きついている。
髪も服も真っ黒で、本当に死神だと思った。
地獄に落ちるのは当たり前だ。
やっとこの世から消えてなくなるんだ。

真っ白な世界、死神の前で、生まれて二回目の笑顔をもらした。


≪戻 次≫


----------

後書:言い訳

過去話。やってきました、水色と紫色の出会ったころの話。
暗い上に突拍子もなく、さらに短いんだか、長いんだか。
苦笑を禁じえない駄文。

がんばります!
ってことで、ゆーじさんと連載することになりました。
The past story by light blue and violet
よろしくお願いします!

整理しながら読み返したけど、恥ずかしいね、この話・・・(07.3.29)


06.4/22 新彊護刃




- mono space -