sweetpotato-2


Sweet Potato


「…けむ〜…」
 まず最初に降りてきたのは女性陣であった。相変わらず仲が良いらしい、3人横に揃ってお喋りをしながら来たようである。美卯はぱたぱたと顔の前で手をふるというあからさまな態度で煙いのを嫌がっている。
「髪の毛に煙のニオイつきそうねぇ」
 麻緋は華耶に同意を求めるように言う。
「あ〜〜〜けむいけむいってうっせえなあお前等。髪の毛位洗えばいいじゃねえか」
「生憎ねえ、善ちゃんのするガサツなシャンプーとは違うのよ」
「残念でした〜。俺はシャンプーも丁寧にやってますぅ〜」
 そうかしら、そうだよ、そうは見えないわよと果ての無いように繰り広げられる口論は、他人から見れば漫才をやっているようにしか見えない。その証拠に、雪は火加減を調節しながらもくすくすと笑っている。
「まあ、ニオイがつくのは嫌かもしれませんが我慢して下さい、美味しいものを食べる為ですから」
 雪がやんわりたしなめると、それもそうね、と麻緋はころっと態度を変え、ねえいくつ焼くの、このおイモちゃんと甘いの、等と雪に質問攻めをしている。女性らしく甘い物に眼がないようだ。
「確か琳は初めてなんだよな?コレ」
 その会話を聞いていたのか、翔驥は愉快そうな笑顔を浮かべながらサツマイモをせっせとアルミホイルに巻いている。
コレ、とは察するにどうやらヤキイモの事らしい。
「ああ、…まあ、うん」
「そっか♪これはな、かなり美味いぞ〜」
 鼻歌交じりにアルミホイルを巻く翔驥に、美味くなきゃわざわざこんな事してまでやらないだろうと琳は突っ込みたくなったが、その後の会話が続かなさそうなのでそっと心の中にしまっておいた。
「…あれ?最初に新聞紙濡らしたの巻いた?」
 いつの間にか、暇を持て余したらしい女性2人が翔驥と琳の間から覗き込んでいた。「…へ?新聞紙?」
 すっとんきょうな声で翔驥は美卯に聞き返す。
「うん、濡らした新聞紙最初に巻いて、更にその上からアルミホイルで巻くのが屋外の焼き芋の仕方だったと思うけど」
 美卯はどうも自分の記憶に自信がないらしく、隣に居た華耶にそうだよね?と聞いた。
「ええ、私もあまり詳しくは存じ上げませんが…確か、そうだったと思います。そうしないと、確か焦げ易いとか…」
 その華耶の証言が言い終わる前に、翔驥は兎の如く火の元へ居る善慈と未だ麻緋から質問攻めにされている雪の下へ走っていた。
「……あ、あのさ……今まで投げて渡したのって…もう入れちゃってたりは…」
「え、もう3個は入れたけど?」
 それがどうかした?と聞きながら丁度その時善慈はまさにそのままだと焦げ易いであろうモノを棒でつついて転がし、4個目をいれていた。
「…ぁ………えっと、実は…」
 実は濡らした新聞紙巻いてないまま渡した事と、それを巻いていないで焼くと焦げ易いかもしれないという事をたどたどしくなりながらも説明した。それを聞いた善慈はやや蒼白になって、やばいじゃんとでも言いたげである。
「っていうか…俺の説明間違ってたんじゃん…」
 先程はあんなにも得意げに説明し、先陣をきってヤキイモをつくっていたのだが今やその見る影すらない。面目丸潰れ、といったところであろうか。善慈はただうな垂れている。雪は慌てて質問攻めにされながらも一人で火加減調節を始めた。「なになに?善慈が間違えてたの?」
 美卯は長時間翔驥が善慈の所へ居るのが気に掛かったらしく、いつの間にかまた会話に入っていた。
「まあ、さすがはバカ善慈といったところよね」
 美卯は得意げな顔をして、また流石はバカ善慈よねえ、と繰り返す(どうやら善慈よりヤキイモの知識が有った事に優越感を覚えているらしい)。
「クソアマにバカって言われたくねぇな。お前もバカのくせに」
 うな垂れていた善慈はすっかりお決まりの煽りに反応し、更に口論に熱を入れている。
(熱を入れるのはヤキイモだけにして欲しいなあ…)
 雪は麻緋に焼いちゃったイモどうするの、等と聞かれているのを無視しながら焦げた落ち葉と新聞紙の塊をぼーっと眺めた。

 善慈と美卯の口論がひと段落ついたころ、クラストがようやく仕事に一区切りをつけて外へと出てきた。麻緋が相変わらず仕事バカねえさっさと下りてきなさいよとクラストに言うが、クラストはただすいません、とかわしただけだった。
 そうこうしている間に華耶と琳、翔驥が戸惑いながらもどうやらサツマイモを正しく(?)巻いて持って来ていた。おそらく、1人2個程度はいきわたる位の量であろう。…4個は焦げのついたものであるが。
 先刻とはうってかわり、何の問題もなく煙を上げるそれに押し込めると、「じゃあ、焦げ付いたのって…どうしましょうか?」
 雪は手をかざしながら皆に問い掛けた。


≪戻 次≫


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後書:言い訳

面倒だと思ってしまう前に皆様に迷惑かける前に書きました。
内容が薄っぺらい気も…。いやいや気のせい。
ってかずいずい進行させましたがこんなんで大丈夫か。次位で終わっちゃいそうですよね。ぁ
どうにか発展させるか終わらせるかはにわとりさん次第で。笑


書きにくいことこの上ないと思いますが(申し訳ない orz)お次宜しくお願いしまーす

06.10/10 ゆーじ



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